日本のビール作りに使われるホップは、海外からの輸入ものもあるが、国内生産されているものもある。海外からの輸入先としてはドイツ、チェコ、アメリカである。どれもビール作りが盛んな所である。日曜日朝に放映されている加藤浩次と進藤晶子が司会をしている「ガッチリマンデー」という番組で、ディレクターが各国の在日大使館を訪ねて、日本へ売り込んでいる製品などを紹介していた。チェコの大使が言うには、チェコが日本に一番多く売っているのはホップだという。ビールの本場であるドイツからのホップの輸入は想像がつくが、チェコというのは思いつかなかったから吃驚した。
カラハナソウ
国内ではホップの生産は東北が中心であり、岩手、秋田、山形の順で生産量が多い。日本でホップが生産されるようになったのは明治期で、山梨県や長野県だった。その後ビール会社が農家に契約栽培して普及を図ってきた歴史がある。
ビールは麦芽、ホップ、水を使って発酵させたものである。ホップは材料として欠かせない。エビスビール(サッポロビール)は麦芽とホップと記載があり、その他の醸造酒(発泡酒)のノドゴシ生(キリンビール)はホップ、糖類、大豆たんぱく、酵母エキスと記載されている。
山形県は生産量も多くビール会社と契約している農家が栽培しているが、先日もテレビで高畠のホップ収穫のニュースをやっていた。高いところに枠がありそれにぶら下がっている画面が放映されていた。
ホップは、イラクサ目アサ科のカラハナソウ属の植物である。私は山に入ったり山道を歩いたりするが、周りに野生のホップをたくさん見かける。先日も原崎沼の遊歩道でもホップを見たし、高瀬から山形市に抜ける紅花トンネルの入り口の山道の入り口でも見た。いつもワラビ採りに行く山寺への道の脇の山道でもみた。その気になるとたくさんのホップを見かけられる。
日が経つと毬状でマツカサのような柔らかい皮が重なった花か実は、だんだん表面が枯れてくる。この植物を私はずーっとビールに使うホップの野生種だと考えていた。ある時図鑑を見ていたら、これはビールに使うホップではなくカラハナソウというのだと知った。ホップとはアサ科とカラハナソウ属と同じだが種がちょっと違う。植物としては兄弟だがビールに使うホップは、外国つまりヨーロッパやアメリカから種を持ち込んで栽培してきたのである。きっとビールを作るのに必要な苦みや香りそして腐敗を防ぐ働きなどは、私が見かけているカラハナソウにはないのかもしれない。ビールに使うホップの植物として持つ特性は、人間が長い年月をかけて選抜してきたものかもしれない。
枯れてきたカラハナソウ
10月の中旬過ぎにカラハナソウがあるところを通りかかったら、やはり表面ばかりでなく中身も枯れていた。マツカサのようなものを一枚一枚はがしていったら、一番根元に小さい種があった。もしかすると風に乗って飛んでいくのかもしれないと思った。タンポポのような綿毛でないが、そのマツカサのような一枚一枚の薄い皮が、風に乗って飛んでいくのではないかと思う。カラハナソウとホップ、似たものだから同じ機能があるとは限らないということを学んだと思っている。
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