マンサク

植物編

マンサクは気になっていた花である。宮城県の鳴子の科教協の授業検討会で子供たちが最初に春を見つけるのが、まずマンサクだという実践紹介を聞いたからである

 山で見かけたマンサク

東北の冬は厳しく、名古屋から来たものにとってはその厳しさは予想以上のものである。それでも宮城県と山形県を比べると、山形県の方が日本海型気候で冬は太陽の顔を見る日が少なく、朝は必ずと言って良いほど曇っていることが多く、時々は寒雷も聞くことがある。また何といっても積雪量が多い。天童は県内では雪の量が少なく多くても50センチ位が普通だが、米沢や新庄ではそれよりは多く、最上の肘折温泉では2~3メートル積もり、全国でも有数の豪雪地帯である。この積雪量でうんざりするのに加えて凍結して車がスリップして他の車や電信柱などにぶつける危険性も大きく、冬を無事に暮らし通せるかが悩みの種である。私の車は前輪駆動だが、山形の人は4輪駆動車で凍結した駐車場から車を出す準備も万端怠りない。この地方で冬の最大の仕事は雪かきや雪下ろしである。私自身も毎年駐車場の雪かきをするが、毎日降り積もる雪かきするのは大変な作業である。毎年のことだが雪下ろしで屋根から落ちて亡くなる高齢者の数も少なくない。

これに比べると宮城県側は雪は少なく冬は快晴の日が多い。風が吹いて寒いが積雪量はそれほどでもなく凌ぎやすい。だから雪空の山形県側から関山トンネルや笹谷トンネルを抜けると、川端康成の「雪国」ではないが宮城県側では青空であることが多く吃驚する。

マンサクはこうした寒い冬を過ぎて春を一番先に感じさせる花である。雑木林はまだほとんど枯れ木で、マンサクの花を見つけると春が来た兆しであり嬉しくなる。この感情は私ばかりでなく、東北人の多くが感じるのではないだろうか。

 マンサクの園芸種 その1

マンサクが咲きだすのは3月末頃からである。木のところどころに黄色の丸まった花がつく感じで、華やかな感じはない花である。それこそが可憐で東北人の人柄や季節感に合っているように思えてならない。私は、福島県のいわきから浪江に抜ける山沿いの県道(35号線)の四倉町白岩の崖で咲いているマンサクを採ったことがあるし、宮城県では大和町南川ダムの近くで採ったことがある。それらを花瓶で飾るためである。いわきのマンサクは枝に花を余り咲かさないのだが、却ってそれが良いのだ。

最近は庭に雑木を植える人が多くなってマンサクもその中に入る。知り合いもマンサクを庭に植えているが園芸用なので、とても華やかなマンサクである。山に行って採るマンサクは、そうした園芸用のマンサクに比べると華やかさの点で見劣りがするが、私自身は雑木林で見る華やさに欠けるマンサクの方が好きである。花瓶にマンサクを活けると春が来たと感じさせるから、その存在感は大きい。南川ダム近くにマンサクを採りに行ったときに近くに杉林があり、スギの花粉が舞っていて、そのために涙が出て前が良く見えなくなった経験がある。昔はそれほど涙やくしゃみが出ることはなかったが、こんなにも近くで花粉を吸い込んだりすると、症状が激しく出るのを学ぶことになった。

 マンサクの園芸種 その2

その早い春が過ぎるとキケマン、レンギョウやサンシュユの黄色が見られるようになる。なぜか私の中では、春の景色は黄色だという思いが強くなっている。

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