モモ

植物編

天童の春は果樹の花が満開になると見事である。サクランボ、リンゴ、ラフランス、ナシのように全体に白い花が多い中で、とりわけその存在をアピールしているのが桃の花である。サクランボの果樹の花に比べると、やや桃の開花は遅いようである。全国的には3月の桃の節句の頃には桃が開花するのだろうが、天童周辺ではその頃には、ケイオウザクラを咲かせて出荷する位だから、果樹の花は咲いていない。モモはバラ科の植物で、梅、桜やボケなどと同じ仲間である。そこで五枚の花弁をもっている。ボケなどは赤や白などの色が多様であるが、桃は桃色だけである。

モモの花

 昔名古屋の東芝社宅の庭には桃の木があった。春になって花が咲き実をつけるが、途中で小さな桃の実がポロポロ落ちて、最後には大きなモモが一つになってしまう。小さかった頃には、なぜたくさんの桃の花が咲くのに、最後は実が一つしかならないのか分からなかった。こちらに来て、リンゴでもラフランスでも途中で摘果作業をして、その実を途中でかなり落としてしまう。散歩で果樹園の中を歩くが、その量が半端でないのである。またリンゴ、ラフランスやサクランボでも、秋が終わると木の剪定をして、どの枝を伸ばさせるのかを決めるようなのである。木が作った栄養を無駄なく実にならせ商品になるようにするためである。こうした摘果作業が普通なのに、小さい時はそのことを知らなかったのである。他の家のモモの木はいくつかできていたのに、私の家のモモだけはそうなってしまったという感じは今でも拭えない。

 木になりだしたモモの実

 モモは旬の時期は美味しいのだが苦い経験もある。私の父方の叔母がなくなり仏前にあげるようにと従兄にモモを送った。自分で食べて美味しかったので、それを味わってもらおうとしたのである。その桃を直接生産地からではなく公設市場内にある八百屋に依頼して送ったのだが、届いたモモは腐っていた。その従兄はその送った八百屋に電話して新しいものを送って貰ったと報告を受けた。八百屋の方でも仕入れ先からいくつかの箱を買い、いくつかを開けて状態を調べたのだが、その箱だけが腐っていたのだろう。また一つが腐ると他のモモも腐ることもあるので、良かれと思ってした行為が相手に迷惑をかけてしまった。この経験から私は生産地の農家の人から直接送る以外は、モモを送ることをしなくなった。

 ところで私の一番下の妹は当時神戸の六甲に住んでいて、私に岡山の白桃を送ってくれたことがある。東北では、白桃のような種類はないような気がするが、白桃はとても上品な感じがするモモである。福島や山形も桃の産地であるが白桃は見たことがない。こちらに来て、あかつきや川中島というモモなどの名前を知ったが、モモにも色々な種類があるようである。

 収穫時期と色々な種類

 天童市内の農産物市場を訪ねると、その時期にはたくさんのモモを売っているが、モモの品種とその販売予定が書かれた札が立ててあった。それによると、モモの季節は7月下旬から10月初旬までである。初めに出てくるモモは、暁星(7月下旬~8月上旬)で、あかつき、紅国見、白川白鳳、あぶくま、まなみ(8月上中旬~8月下旬)が続き、次に、おどろき、いけだ(美晴白桃)、黄金桃(8月中旬~9月上旬)で、最後に川中島(8月下旬~9月中旬)、西王母(10月~)となっている。もともとモモの原産地は中国だと言われており、日本国内で品種改良されて多様な品種が生まれてきているようである。

 一番左の写真 平べったいのが蟠桃

 先日、この農産市場で蟠桃(ばんとう)という平べったいモモがあったので、買って知人にあげた。最近は人にあげるとき、色々な品種のものを組み合わせてあげるようにしている。このモモの感想を聞いたら(私は食べていない)、味は淡白だが中身の色が緑色だったとの話だった。調べてみたが中身が緑と書いてなかったがこの形や甘さの話から、モモの原種に近いモモではないかと推察している。

 少しずつ、今度はモモの種類やその特徴などにも挑戦したいと考えるようになった。

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