チゴユリ

植物編

チゴユリは可憐なユリ科の花を咲かす植物である。葉は互生しているが茎の先に一つか二つに分かれた小さい花を咲かせる。ユリ科なので葉は楕円形である。

  チゴユリの花

 この花を見たのは今から何十年も前であるが、いつもその可憐な素晴らしさにうっとりした。この花も一輪挿しにすると日本間にはとても合う花だと思う。

 昔、私の知り合いが食器の店を開いた。相馬焼、会津焼や笠間焼などを対象にして、主人が気に入った趣味の食器を売るという店で「かざはな」という名前がつけられた店であった。この店を出してしばらくすると、店を紹介する雑誌社から店を載せないかという誘いの電話がきた。良い店があるからメディアを使って世間に知らせようというマスコミ関係の善意だろうと考えていたのだが、詳しく話を聞くと、雑誌に紹介するだけで何十万円の掲載料を払わなければならないとのことであった。この話を聞いてからは、テレビにしろ雑誌にしろ本当に美味しいとか趣味が良いから紹介されているのではなく、その紹介される店がテレビや雑誌にお金を払って売り込むための手段なのだろうと考えるようになった。私自身の経験からレストランやラーメン店で店の前にお客が並んでいるからといって、本当に美味しいとはいえないケースをいくつも経験している。マスコミや社会での評判も当てにならないものだと実感したものである。この知り合いの店は、結局は採算取れず潰れてしまった。

 その店が始まった時山に行ってチゴユリとかイチヤクソウを採ってきて、店の飾りとして、小さい鉢に植えて店の端に飾るように提供した。女性のお客さんが店に来て、食器のほかにそのチゴユリの花を見てぜひ欲しいというので、主人はそれを提供したのである。このチゴユリは、茎の先に多くの場合には一輪だけ咲くものが多い。その小ささと花が先端に下向きに咲くことから、風情があり可愛い感じがするのだろう。このチゴユリは、木々の間の下草として群生して咲いている場合が多い。

  チゴユリの実

 秋になって天童高原に散歩がてら出かけて、北面白山に行く山道の途中で野生のリンドウが咲いているのを見かけた。その近くの下を見ると、チゴユリの葉の形をしたユリ科の植物の先に黒い実をつけたものを見つけた。瞬間にチゴユリの実に違いないと判断した。花の大きさからいって、こんなに大きい実だとは思っていなかったから、吃驚した。

 帰ってから図鑑を見たら、やっぱりチゴユリの実であった。花の印象ではこのような大きな実がなるとは想像していなかったので、とても驚いたことを覚えている。こうした黒い実を1つだけつけて、その実を落として子孫を増やすのは効率的ではないが、ユリ科だから球根でも増えるのだろうか。チゴユリも子孫を増やす二つの戦略方法を採っているのではないかとも考えている。もう少し詳しく調べたいと考えている。

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