ジャガイモ

植物編

イモといえばサツマイモとジャガイモをすぐに思い浮かべる。サツマイモは小さい頃随分食べたが、橙色のものは甘くて美味しいが、黄色のものはパサパサして胸焼けして美味しくなかった記憶だけが残っている。最近では近くのスーパーの店内で焼き芋にして販売しているが、香ばしくてとても美味しそうに感じるのは我ながら不思議である。ジャガイモは北海道では、茹でてバターをつけてジャガバターにして食べているようだが、私はほとんど経験はない。

ジャガイモの花

 二つイモについて中学生の時、サツマイモは根だがジャガイモは茎だと学んだ記憶がある。授業だったのか自分で読んだ雑誌なのかはっきり思い出せないが、このことがずーっと頭から離れなかった。サツマイモであれジャガイモであれ、光合成で作ったデンプンを体の一部のイモの部分で地中に蓄えるのは全く同じである。イモなのだから根が太くなったのではないかと思っていた。

 その疑問は長い間解決できないままだったが、その後植物図鑑や植物についての本を読んでいるうちに、茎に葉がつく仕方が種によって異なっていることが分かってきた。葉のつき方には、桜や朝顔のように互生(交互に一枚ずつ方向を異にして葉が生じる)、対生(葉が二枚向き合って茎につく)、輪生(葉の一節に三枚以上の葉が輪状につく)、根生(葉が直接根から生じる)などがある。そうすると、もしジャガイモが茎で互生の葉のつき方(真上から見ると、らせん状に円を描きながら葉がつく)をしているとしたら、ジャガイモの小さな芽のつき方もそんなつき方になっている筈だと思って調べてみたら、芽が出ている様子がらせん状になっているではないか。こうした芽のつき方からするとジャガイモは茎ではないかということになる。

  サツマイモ畑

 植物の花は、葉が変形して子孫を残すように変形したものだと考えられる。モクレンも互生の葉のつき方をするから、花の仕組みの中にこの葉のつき方が組み込まれているはずである。モクレンは早くに被子植物に進化して、花の構造もいたってシンプルでおしべのつき方(配置が)もやはりらせん状なのである。こうしてサツマイモは根でジャガイモは茎だということの一応の決着を見て、何だか心がすっきりした。

ところでジャガイモの芽には毒があり、親から食べる前には必ず芽の部分を削り取って調理するように言われた。ジャガイモには、皮や芽に有毒なアルカロイドの仲間のソラニンやソラマリンなどの物質が含まれている。それを食べると頭痛や嘔吐などがあるという。芽だけをたくさん食べると死ぬこともあるようだ。ジャガイモはどの部分にも毒があり、特に芽の部分にそれが集中しているのである。こうしたジャガイモを買ってから放っておくと、時間の経過とともに芽が育って、しかもジャガイモが緑色になってくる経験を誰もが持っているのではなかろうか。緑色になるというのは、葉緑体が皮に分布してきている証拠であり、茎であるジャガイモが光合成をする準備をしているのである。こうしたことは根であるサツマイモでは見られない。ジャガイモが緑色になってくる現象を見たとき、やっぱりジャガイモは茎だったんだなあと実感したものである。

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