冬のヨシ原で見かけた鳥たち

その他編

カモやその他の野鳥の写真を撮るために色々な所を歩き回っている。一つはウォーキングのためでもあるが、単に歩いているだけではつまらない。趣味でもある動植物の写真を撮るためにどこまでも被写体を追いかけていくことも多い。そうやって歩いている距離は平均すると毎日大体三キロ位ではなかろうか。

当然ながらその被写体であるカモや鳥たちはいつでも見られる訳ではない。それでも頻繁に出かけていると偶然オオタカ、ハヤブサ、ミサゴ、チョウゲンボウ等のタカの仲間に出会うことがある。

オオタカ

  ハヤブサ

  チョウゲンボウ

  ミサゴ

そんな時は夢中になって空中を飛んでいるタカたちを連写して撮影している。タカたちが飛んでくる場所は餌になる鳥や魚が獲れる場所である。その場所は川沿いの草叢や伊勢湾に入り込む川の河口である。蟹江町と愛西市を流れる二級河川の蟹江川、日光川や善太川の下流部ではヨシ原が細く続いているが、河口付近には土手から川べりまで広い空間がヨシ原になっている。そのヨシ原を見てみると、大雨の時に上流から流れてきたペットボトルやゴミが散乱し、ヨシ原も泥水を被っているのでとても綺麗とは言えない景色となっている。

冬の季節にはそのヨシ原は枯れた穂や茎や葉になっている。それが川に沿って連続的に繋がっている。木曽三川の木曽川、長良川、揖斐川でも同様で、立田大橋が架かる付近ではヨシやガマの群生地があり河岸から川の真中までの十分の一位までがヨシ原である。

ヨシ原といえばオオヨシキリを思い出すが、オオヨシキリは日本に一年中いる留鳥ではなく夏鳥である。冬になると南方に移動して夏になると繁殖のために日本列島にやって来る。あの甲高い囀り(さえずり)を聞くと夏だなあという感じがして、夏とオオヨシキリは私の中では対連合している。

  オオヨシキリ

 日光川と善太川が合流する河口付近には広いヨシ原があり、一~三月には枯れたヨシ原を見ながら土手を歩いて、野鳥の写真を撮っている。そのヨシ原の中を小さな鳥たちが飛び回っている。飛び回るというよりは私が土手を歩いて行くので、危険を察して逃げながらヨシ原のヨシの間に入ってしまうのである。写真を撮ろうとしてもなかなか撮れないが、ヨシ原の前方で茎に捉まっている野鳥を見かける場合があり、カメラを望遠にして撮れる時もある。多くの写真はヨシの茎が邪魔したり逆光になってパソコンに入れても綺麗に撮れていないことが多い。それでも何枚かは使用に耐える写真もたまにはある。

冬のヨシ原にいる鳥たちを挙げてみると、留鳥のキジバト、カワラヒワ、スズメ、オオジュリン、アオジ、ホオジロ、漂鳥のベニマシコ、大陸から渡ってきて冬を越しているツグミ、ジョウビタキを見かけている。このヨシ原では二羽のオスとメスのキジも見かけた。蟹江周辺では初めて見かけたキジである。こんな鳥たちがヨシ原中を飛び回っている。

  ホオジロ

   モズ  ツグミ  ジョウビタキ

   ムクドリ  ヒヨドリ  カワラヒワ

   スズメ  ベニマシコ  カワセミ

このヨシ原で見かけた鳥のうちホオジロ、アオジ、オオジュリン、ベニマシコの存在を知ってとても驚いた。ホオジロとアオジについてはそれぞれの項目で述べたが、オオジュリンとベニマシコは初めて知った鳥である。写真を撮っている時に枯れたヨシの茎を嘴で懸命に啄んでいる鳥がいて、冬越しのためにその茎か枯葉を食べて生きているんだと吃驚した。そんな行動を示すのがオオジュリンである。「日本の野鳥」(叶内拓哉 安部直哉 上田秀雄 山と渓谷社)のオオジュリンの項の行動部分で「繁殖期以外は小群で生活するものが多い。繁殖期は草や灌木で、主に昆虫類を採食する。越冬地ではアシ原に生息し、アシの茎から茎へ移動しながら、嘴でアシの葉鞘を剥がしたり、茎を割って中にいるカイガラムシ類などを採食することが多い。」と記されている。何でヨシの茎を啄んでいるのかと不思議に思っていたが、オオジュリンにはこうした習性があるようなのである。

  オオジュリン  アオジ  カシラダカ

撮った写真をパソコンに入れて拡大して一羽のオオジュリンを見ていたら、足環らしいものをつけているオオジュリンがいた。拡大してみたらやっぱり足環だった。オオジュリンは野鳥で捕獲することは認められていない筈なので、この足環は研究のための標識なのではなかろうか。野鳥に足環がついているのを見たのは初めてだった。

またヨシ原の中の木の梢に止まっている鳥を見かけて写真を撮った。数日後にはヨシの茎に止まっている同じ鳥を見かけた。パソコンに取り込んでみたら全体が夕焼け色の赤色だった。瞬間的にベニマシコではないかと思った。また数日後にヨシの茎に今度はメスと思われる鳥の近くで同じベニマシコを見かけた。

「日本の野鳥」のベニマシコの行動部分では「繁殖期以外は数羽の小群で生活するものが多い。繁殖期は灌木の散在する草原に主に生息し、草木の種子や芽、昆虫類な祖を採食する。越冬地では広い草原の中央にはあまり出ずに、林縁や草薮で採食しながら移動するものが多く、一か所に長居しない傾向がある。」と示されている。確かに一週間位見かけていたが、その後は全く見かけていない。

こうした冬の枯れたヨシ原の中でも、予想以上の種類の鳥たちが越冬しているのを知って、彼らのためにも早く春が来ないかなあと思ってしまった。

                           

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