ヤナギダテ

タデの仲間はたくさんある。小さい時に遊んだ赤飯(あかまんま)はイヌタデで、しかも「蓼食う虫は好き好き」という諺(ことわざ)もあり、夏から秋にかけて野原や道の端に生えている雑草である。

  イヌタデ

 その赤飯にしか目がいかなかったが、天童周辺を歩いてみるとタデの仲間がたくさんあることに気がついた。ソバはいうに及ばずギシギシもそうだし、ミズヒキ、ミゾソバ、アイ、イタドリもその仲間に入れられる。かなり広い範囲の植物がタデ科である。

 ヤナギタデ

  「蓼食う虫は好き好き」というのはタデの葉が辛くて食べられないのに、そうしたものを好んで食べる動物がいることを示したものである。タデ科にはたくさんあるが、タデというとヤナギタデのことをいうらしい。ヤナギタデは葉が辛いのかという疑問と、それを食べる昆虫がいるのか。調べてみたらヤナギタデは辛いと記されている。似たタデとの区別では齧って辛ければヤナギタデで、辛くなければボントクタデだそうである。またヤナギタデのような辛い葉を食べるものに、タデハムシという昆虫がいる。これも蝶の幼虫の食性と同じに考えれば、その辛い化学成分と長い間につきあいで進化してきたから、それを食べて生きてきたのだろう。

 その意味では、タデだけでなく蝶などの他の昆虫でも、全てのものが「~食う虫も好き好き」なのではないかと思う。

 このヤナギタデは、私たちの生活にも利用されている。ヤナギタデの出始めのもので赤紫のものが刺身のつまに使われている。発泡スチロールの刺身になぜ大根なのかとか、この赤紫のものは何かとよく考えていたが、あの赤い赤大根の発芽したものと思っていたものが、実はタデ科のヤナギタデだったのである。

 今年は、タデについて学ぶ機会が多かった。イヌタデである赤飯(あかまんま)を一番見かけるが、山元沼の近くの畑で色合いが同じなのに大きなタデが畑に植えられていた。人の背丈よりも大きいのである。そこですぐに写真を撮った。その後調べてみたらオオイヌタデであった。道の脇に入ると色々なタデに出会う。ヤナギタデもそうだしミズヒキはそこら中に咲いている。ミズヒキも何本も咲いていると、とても奇麗で一輪挿しにとても似合う植物である。

  ミズヒキ

でも今年一番感激したのはサクラタデである。この花を見かけたのはやはり山元沼である。同じ場所でも時間が経って訪ねると咲いている植物が違うのである。そのサクラタデを見る前は、ハッカやミゾハギが咲いていた。それらが終わろうとした頃、茎が長くタデ科では花が大きく5枚の花弁のピンクの花を見つけた。姿形が明らかにサクラの花のように見える、とても目立つ花だった。こんな奇麗な花は今までに見たことがなく、これを何枚も写真を撮ったがなかなかピントが合わず、残念な思いをした。

  サクラタデ

夏に愛知県の蟹江に帰省した時、野原の真ん中にケリがい,その側に白いサクラタデが咲いていた。花が大きいので目立つのである。そこで当然写真を撮った。

 イタドリ

タデ科の中にイタドリも含まれるが、これはスカンポとも言われている。童謡の「すかんぽの咲く頃」の中に「土手のすかんぽ、ジャワさらさ 昼はほたるがねんねする~」(北原白秋 作詞 山田耕筰 作曲)の中にも歌われており、高知県ではこれを郷土料理の食材として利用している。

このイタドリが観賞用として日本から外国に持ち込まれて、外国で帰化植物として蔓延って(はびこって)被害を与えていることを随分前に聞いていた。日本ではこのイタドリは秋になると背が高くなって花を咲かせるが、他の植物を排除するということはない。しかし外国ではそうではないらしい。そこでイギリスではこのイタドリの天敵であるカメムシの仲間であるイタドリマダラキジラミを輸入して、イタドリの汁を吸わせて枯らす対策を立てているという。沖縄でウリミバエの増殖を減らすために、コバルトを照射して、増殖することを防いだことを何となく思い出した。

コメント