アマドコロ

植物編

宮城県の村田町の山道を歩いていて、少し脇に入ると時々見かける植物がある。葉がユリ科特有の互生の出方をするが、その葉の下にいくつかの白っぽい蕾がぶら下がって並んでいる。なかなか風情がある植物である。アマドコロでないかと思った。

  アマドコロだと思うけど?

 また山沿いの県道をいわきから浪江に向かう途中の富岡周辺の土手に、このアマドコロだと思われる花が咲いていた。アマドコロは春には葉の脇から緑色の蕾を垂らすが、東北では出始めのものを山菜として食べているが私は食べたことはない。

 その花が咲いて実ができると、その茎に丸い大きな実が出来てそれがぶら下がるようになる。それもなかなか風情があって、それを採ってきて一輪挿しにすると日本間では映える存在となる。

 最初は馬鹿の一つ覚えでアマドコロとしか考えずに、その姿形らしいものをすべてアマドコロと考えていたが、それと似た花にナルコユリがある。天童周辺の丘陵地帯を春過ぎにウォーキングを兼ねて歩いていると、その道の右側の土手にアマドコロだか、ナルコユリだか判断できないものが生えているのを見かけるようになった。姿形からすると、ナルコユリのような気がするが、どちらか判定できなかった。

  ナルコユリかな?

 そこでナルコユリとアマドコロの違いを調べてみたら、いがりまさし著「野草のおぼえかた(小学館)」には、「角ドコロに丸コユリ」と紹介されているという。この二つの種類はともにユリ科(クサスギカズラ科)で同じ仲間の植物である。専門家でもこの違いを区別できないようだが、茎の形で区別することができる。アマドコロの稜は5~6個であるのに対して、ナルコユリは円形であることから区別することができる。

 他にも生態や植物生理が違うはずで、こうした違いが分かれば見た瞬間にアマドコロとナルコユリの違いが分かるのではないかと思っている。そういう意味からすると、今勉強中の植物といえようか。

 私は例年、年賀状に撮った植物の写真を載せている。毎年様式を変えるのが大変なので、同じ構成にして写真だけを変えている。これまで、フデリンドウ、リンゴの花、ラフランスの花、キャベツの葉脈だけの葉、カキザキイチゲなどを載せているが、ある年にはアマドコロを載せたことがある。花が咲いている写真で、存在感があると感じたからである。

いつも感じることだが、アマドコロや他の野草などの植物写真を撮ってフェイスブックに掲載しても、興味を持ってくれる卒業生は多くない。専門職に就いた卒業生たちは、子ども同士の遊びやコミュニケーションを成立させるための手立てに集中していて、子ども達に昆虫、鳥や植物に対する興味を持たせることには余り関心がない。子どもの世界を広げるためには、教師自身が昆虫、鳥や植物に興味を持って探検しないと、幼児には伝わらないのではと思っている。たかだが野草への興味であるが、これを通して自然の奥深さや生き物の営み、生きるための戦略などを学べるからとても楽しい。人それぞれといってしまえばそれまでの話なのだが。

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