イタチ

動物編

動植物の写真を撮るために歩き回っていると、イタチを時々見かけることがある。蟹江周辺でも生息しているようだが、敏捷で用心深いのですぐ叢(くさむら)の中に逃げ込んでしまう。私にとっては写真に撮るのが難しい動物の一つである。今でも残念に思うのは、永和の沼のヨシ原で子ども連れのイタチの家族を見かけたものの写真に撮れなかったことである。

 伊勢湾に流れ込む弥富市宝川の河口付近の土手で、一瞬立ち止まったイタチの写真を偶然撮ることができた。走り去ろうとして立ち止まり、私の方を振り返って、何者かと確認するような仕草だった。その場面を連写してやっと何枚か撮ることができた。全くの幸運だった。

宝川で見かけたイタチ

 その後三か月程して、永和の雑木林脇の農道を歩いていくと、前方に茶色をした動物がいて、懸命に餌らしいものを食べようと悪戦苦闘していた。見た瞬間にイタチだと分かった。悪戦苦闘している対象はミシシッピアカミミガメだった。甲羅が硬くて食べられずに、色々と齧っているところだった。イタチが貪欲でもこの甲羅は嚙み砕けないだろうと思いながら眺めていると、こちらを向いて私の方に近づいて来た。その場面を写真に撮った。お前は何者かという風情の目つきに見えた。

 永和の雑木林付近の田んぼでは時々イタチを見かける。でもすぐに田んぼの中に逃げ込んでしまうので写真に撮れたことはない。この付近でイタチを時々見かけるので周辺で生活しているらしい。

 永和の雑木林脇の農道で見かけたイタチ

 イタチは基本的に肉食が中心の雑食性で、ネズミやカエル、鳥などを捕食している。雑木林脇の農道を歩くと、動物の糞が落ちているが、私は草食動物の糞は「コロコロうんこ」、肉食動物の糞は「ビシャビシャうんこ」と単純に考えている。時々「ビシャビシャうんこ」を見かけるので、きっとイタチの糞だろうなと推測している。

 その後自宅の庭をイタチが歩いていくのを見かけた。机の前の窓から見える庭を横切っていったのだった。すぐに写真を撮ろうと思って窓を開けたが、向かいの家の方に消えて行ってしまった。団地に住みついている可能性はあるものの、イタチ被害の話は聞いていないので、どこかへ移動中のイタチだったのだろう。

 このようにイタチは蟹江周辺にも生息しているらしく、いつかく動画を撮りたいと思っていた。知人にはイタチは夜行性で見かけることも難しいので、多分一生動画を撮れないかも知れないと話したことがあった。

 二〇二三年三月六日に蟹江新田の日光川の土手を歩いていて、土手下のヨシ原のプラスチックゴミが散乱している川原にイタチがいるのを見かけた。何年か前に同じ場所でイタチを見かけていて写真を撮ったことがあったがぼけてしまっていた。それから四~五年経過している。

 そのイタチはヨシ原の叢からゴミのある方に歩いていき、ゴミの中から餌らしいを咥えて戻ってきた。そこまでいく間に何回か体を直立させて立ち上がった。テレビでよく見かけるミーアキャットのようだった。もしかするとイタチ科の習性かも知れない。立ち上がって周りの様子を窺っていた。こんな行動をするとは全く予想していなかったので吃驚してしまった。

 ウィキペディアでは「イタチとは、ネコ目(食肉目)イヌ亜目クマ下目イタチ科イタチ属に含まれる哺乳類の総称である。オコジョ、イイズナ、ミンク、ニホンイタチなどがイタチ属に分類される。~中略~ 日本全国、ユーラシア、アフリカ、南北アメリカ大陸の亜熱帯から寒帯まで広く分布している。イタチ属の動物は、しなやかな細長い胴体に短い四肢をもち、鼻先がとがった顔に丸く小さな耳がある。多くの種が体重二キロ以下で、ネコ目(食肉類)の中で最も小柄なグループである。~中略~ イタチ類は、オスに比べてメスは極端に小柄であることでも知られ、この傾向は小型の種ほど顕著である。~中略~ 小柄な体格ながら、非常に凶暴な肉食獣であり、小型の齧歯類や鳥類はもとより、自分よりも大きなニワトリやウサギなども単独で捕食する。反対にイタチを捕食する天敵は鷲・鷹・フクロウと言った猛禽類とキツネである。」と記されている。 

 日光川のごみが散乱する河原のイタチ

 ところが見かけるイタチには二種類あるようなのだ。「害獣駆除 一一〇番」には「生息地域が広く、目撃されることが多いイタチはニホンイタチとシベリアイタチ(チョウセンイタチ)の二種類です。~中略~ ニホンイタチはニホン固有種で、古くから日本に生息している動物です。基本的に冬眠せず、年中活動しています。シベリアイタチ(チョウセンイタチ)は外来種です。毛皮を利用するため持ち込まれたものが逃げ出したり、ネズミの駆除のために放逐されて、西日本を中心に生息しています。基本的に夜行性であり~。」と記されている。

またイタチの家屋への被害が相当あるようで、多くはシベリアイタチ(チョウセンイタチ)によるものらしい。「害獣駆除 一一〇番」には「イタチは垂直の壁を上がることができ、わずか三センチ四方の穴があれば通り抜けることができます。また木登りが得意のため、庭木から人家の屋根に飛び移ることも可能です。そのため人家の屋根裏に侵入し、断熱材をほぐして巣を作り、フンや尿で屋根裏を汚します。イタチは『ためフン』といって一カ所にフンをためる習性があるため、フン尿による悪臭や害虫の発生など衛生上の問題も出てきます。また、フンや尿によって天井にシミができたり、腐朽したりなど、住宅の破損の原因にもなります。」と記されている。イタチもタヌキ同様にため糞をすると書かれているので、「ビシャビシャうんこ」ではない可能性もある。これから調べようと考えている。

また家屋への浸入を予防するには、①侵入口となる隙間を埋める ②餌となるものを除く ➂忌避剤で寄せつけない などの対策が必要となる。但しイタチを捕獲駆除となると、資格や許可が必要になるらしい。鳥獣保護管理法という法律によって捕獲、殺傷が原則禁止されているからである。私が見かけているイタチは、全て河川や沼、田んぼ周辺で見かけているイタチである。人家からそこまで遠征してきているとは思えないので、街の真ん中で見かけるイタチの生態とは異なっていると思われる。

ハクビシンやアライグマもそうだが、人間が安易に外来種であるシベリアイタチ(チョウセンイタチ)を持ち込んできた結果が、私たちの生活がしっぺ返しを食らっているのではないかと考えられるのだ。

  (ネコ目イタチ科イタチ属)

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