アカバナ

植物編

アカバナは最近見つけた花である。原崎沼の網張の里の原っぱで見つけたのだ。10月になって原崎沼の遊歩道をぶらぶら歩いていくと、その真ん中ほどのところに網張の里がある。沼の対岸には、ヘラブナ釣りの人たちが大きな日傘を立て、フナ用の長い浮きをつけて並んで座って釣り糸を垂れている。私が歩く遊歩道の方には、ルアーフィッシングする人が移動しながらブルーギルやブラックバスを狙って、ルアーを飛ばせている。沼の看板には、ブルーギルやブラックバスの放流は禁止されているが、水面にはかなり大きなブラックバスかブルーギルが泳いでいる。離れていてもヘラブナとブラックバスの違いが分かるから、かなりの量のブルーギルやブラックバスがいることが分かる。それらを狙う人たちは、ヘラブナ釣りの人たち邪魔にならないようにするのか、罪悪感があるからなのか、対岸の方で釣っているのだと思う。

 アカバナの花

 こんな沼の水面にはヒシが群生しているが、そうしたものを見ながらぶらぶら歩きながら植物の写真を撮っている。秋口になると、セイタカアワダチソウやフジバカマの仲間のサワヒヨドリ、ヨメナヤやノコンギク等の写真を撮りながら歩いていく。こうした花の写真を撮っていくと、その大きさの植物にばかりに惹かれてしまう。地面を見るとシソ科のトウバナの花やその実が沢山ついているし、シロネなどの可憐な花が咲いているのを見過ごしてしまう。関心がどの位置や植物の大きさに関心があるかで、植物の存在を確かめることが出来なくなる。一種の予断と言えようか。

 そんな小さな花にも注意をするようにしながら、網張の里の草むらを探していたら、とても面白い花に出くわした。どこが面白いかというと、花びらが薄いピンクの4弁なのだが、その真ん中の雌しべと思われる形が天狗の鼻のような形なのだ。それも白いので花のピンクの中にツンと飛び出していてユーモラスに見える。さらに面白いのは、その子房の長さがとても長く、インゲンマメ位の感じで長いのである。よく見ないと分からないほどの花だが、とてもユニークで嬉しくなって写真を撮った。ところが私の技術の未熟さとデジタルカメラの性能なのか、すべての写真の焦点が合わずにぼやけてしまった。とても悔しい思いをした。

 その場所は来年も生えるだろうと高を括っていたら、その翌年、夏場になって原っぱを草刈りした結果ほとんど丸坊主になってしまった。アカバナを見つけた年に、アカバナが他の場所でも咲いていないかと気に留めて観察していたら、山寺に向かう道の脇道の奥で、草ぼうぼうの中に数本咲いているのを見つけた。また山形道の月山パーキングの端の草叢でも咲いていた。それぞれ写真を撮ったが、全てピンボケになっていた。こうした植物に出会ったとき、季節とその時間など考えると一期一会だと思ってシャッターを切るのだが、撮れていないことも多くがっかりすることが多い。そこで、今年は新しいカメラを買って準備したのである。

 アカバナの花 その2

 網張りの里の夏の草刈りの後、10月に確かめに行ったら昨年のところには咲いていなかったが、その周りを見たら数株のアカバナが咲いていた。その場所に座り込んで、新しいカメラ、アイフォンのカメラ、これまでのデジタルカメラを使って、100枚以上の写真を撮った。撮っている最中に、野鳥観察のための望遠カメラと三脚を持った夫婦が傍を通りかかり、「何を撮っているのか」と聞いてきたので、「野草の写真をとっているのだと答えたら、興味なさそうに通って行った。興味の対象の違いで、こんなにも違いがあるのだろうかと考えたのである。

 その後天童高原に行く途中の回り道する道路の途中に、ロータリーの森と名付けられた草叢があった。そこではナラやコナラの植樹をしてあるところだが、下草が生えている。そこの草叢を分け入ったら、何年か振りにミヤコグサを見つけた。そこで写真を撮った。撮り終わって、その奥に入ったらアカバナが何十本も生えている場所があった。こんなところに生えているのかと感激して、写真を撮ったのである、パソコンに取り込んだら、数枚は良いものがあった。多分来年もアカバナは生えるのではないかと期待しているが、どこの山道や草叢も、植物の勢力が変化して同じ所に同じものが生えなくなるのを頻繁に見ているので、咲いていてほしいと思っている。

 アカバナの花 その3

 そこで図鑑で調べてみたら、アカバナ科アカバナ属で、野原の水湿地に生える、葉は対生で茎を巻くことがある。雌しべの柱頭はこん棒状しており、蒴果(さくか)は細長く、長さは3~8センチあると記されていた。アカバナ科には仲間は多くないだが、私が感じていた特徴を持っていた。ただ蒴果というのはどんなことか分からなかったので、広辞苑で調べてみたら、「複子房の発達した果実で、熟すと縦裂して種子を散布する。アサガオ、ケシ、ホウセンカなどの実の類」とあった。果実の皮が割れて種が跳びだすのだろう。そういえば、アカバナは群生しているというわけではないが、周りに何本か生えているから、種が跳びだして広がっていくのだろう。

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