シラサギ

動物編

シラサギは白いサギのことだと思っていた。蟹江周辺には沢山のシラサギがいる。この辺りは水郷地帯なので、シラサギの餌になる小魚やカエル、甲殻類であるザリガニやエビなどが多い。昔からシラサギがいるのがありふれた光景だったので余り関心はなく、それよりはカモの種類やその姿の美しさに惹かれて、そればかり写真に撮ってきていた。この辺りにはアオサギ、ゴイサギ、シラサギがいる。

シラサギ(コサギ)

 関西線永和駅の北側の田んぼの中の用水路には、その土手にたくさんのシラサギやそれよりは少ないがアオサギがいる。東名阪自動車道の善太川にかかる橋梁の南側には、冬になると陽射しを求めて沢山のシラサギやアオサギが並んで日向ぼっこをしている。その近くにカワラバトたちも並んでいる。夏にはその数は多くはないが、冬になると北風を避け暖かい日射しを求めてシラサギの数は多くなってくる。善太川が干潮になり浅くなって底が見えるようになると、シラサギたちが川の中に入って餌を捕っている。この辺りではこれが普通の風景である。

 アマサギ

 善太川にいるシラサギや東名阪自動車道の橋で日向ぼっこをしているシラサギを見ると、大きいのと小さいのがいることに気づくようになった。大きさから言っても同じ種類とは思えない程の違いがある。ましてや嘴(くちばし)や脚の指の色も異なっているので違う種類ではないかと思うようになった。これらをずーっと白いサギだからシラサギと呼んでいた。シラサギにはコサギ、チュウサギ、ダイサギ、アマサギがいるという話を聞いたこともあった。そこで調べてみたら、シラサギという名前のサギはおらず、白いサギを総称してシラサギと呼んでいるということだった。つまりコサギ、チュウサギ、ダイサギ、アマサギの総称という訳である。

 私はツルとサギの飛び方について、馬鹿の一つ覚えでツルは首を伸ばして飛ぶが、サギは首を曲げて飛ぶというルールを使って区別している。遠くで飛んでいる鳥を見て首を真っ直ぐにした飛び方をしているのはツルではないかと思うし、首を曲げていればサギだと考えることにしている。実際この辺りでは首を伸ばして飛んでいるのはカモやウであり、ツル、コウノトリやハクチョウは見かけないので、殆どの大型の水辺の鳥はサギの仲間で首を曲げて飛んでいるものばかりである。

 シラサギ(ダイサギ)

 いつも見ているシラサギの仲間はダイサギとコサギではないかと思う。ダイサギはアオサギと同じ位かやや小さい感じだが大形のサギである。それに較べてコサギはやはり一番小さいサギであり嘴が黒くなっている。ダイサギとコサギの中間のチュウサギは、これまで撮った写真を詳しく調べなければ分からないが、今のところチュウサギの写真は確認できていない。

資料を見てもダイサギとチュウサギの区別がなかなか難しい。カモの種類のメスの違いを区別するのと同じくらい難しいようだ。ダイサギとチュウサギの違いは大きさがダイサギが九〇センチ、チュウサギが六八センチ位で体の大きさが異なる。また嘴の特徴がダイサギは嘴が細長く嘴が目の下の先まで切れ込んで嘴と目の間は黄緑色になっているのに、チュウサギは嘴がやや短く嘴が目の下で止まっている。ダイサギもチュウサギも嘴の色は夏では黒色、冬では黄色と季節によって変わるのは同じである。チュウサギはダイサギが留鳥なのに渡り鳥として夏に日本にやってきて繁殖し、冬には東南アジアに渡っていくという。四六時中日本で見られる訳ではなさそうなのである。他のサギに較べて草原のバッタ等の昆虫を主に餌とする食性と絡んで、環境の変化に伴って準絶滅危惧種になっている。こんな事情からチュウサギを見かけることは少ないという。

 シラサギ(チュウサギ)

 コサギの特徴は大きさがシラサギの中で小さいことと、嘴は黒くて足も黒いが、指先が黄色いスリッパを履いているような姿であり、私もこの特徴を覚えたら間違うことは少なくなった。 

 東名阪自動車道の蟹江インターの北側の道路を走ると、ゴイサギが営巣しているのを見かけた。その中にシラサギも混じっていた。こうした営巣地の近くに行くと動物臭がするが、こんな場所になぜ沢山のサギたちが営巣しているかと思っていた。インターネットで調べるとサギの営巣地はだんだん少なくなってきており、埼玉県では一九九二年に一四か所だったのが二〇〇三年には五か所に減ってしまったと記されていた。そう言えば天童から寒河江に抜ける最上川の村山橋の河原に生えている木にもシラサギのコロニーがあったことを思い出した。しかし数年経つとそこのコロニーはなくなっていった。

 アマサギ

蟹江インターの近くのサギの営巣地は、弥冨インター周辺の営巣地を合わせて、このサギを守る対策を講じている。「高速道路がサギのすみかになったわけ(自然と人が、共に生きていくために)」(サギと高速道路との共生を考える会合)の資料を長くなるが引用してみよう。「東名阪自動車道の蟹江インタ―チェンジと弥冨インターチェンジには、毎年春になると数千羽もの白い鳥が集まってきます。たくさんの車が昼も夜もひっきりなしにビュンビュンと行きかう高速道路の中。うるさいし、とても安心して子育てできる場所とは思えないのですが…、いったいどうしてこんなにたくさんの鳥がすみついたのでしょうか。子育ての時期になると、サギたちはタカなどの敵から身を守るために集団をつくって巣作りします。これをコロニー(集団営巣地)といい、一本の木に違う種類のサギが混じり合って巣作りすることもあります。サギたちはここで卵を産み、近くの田んぼやため池などのエサ場で小魚やカエルなどをとってヒナを育て、秋になると南の国や他の地方へ帰っていくのです。少し前の日本では、全国各地に『サギ山』とよばれるサギのコロニーが見られました。里山近くの林をねぐらとし、田んぼや小川のため池でカエルや小魚、虫を追うサギたち。民話や伝説にも語られた、そんな日本のなつかしいふるさとの風景の中で、サギたちは人びとと共に、のんびり生きていました。都市や産業が発達するにつれて、かつての森や田園地帯はつぎつぎ住宅地や工場に変わり、サギのすむ場所がなくなっていきました。田んぼの水路がコンクリートで固められたり農薬が使われたりして、サギのエサになる魚や小動物がとれる場所も減っていきました。しかたなく神社や公園にすんだサギは、鳴き声やフンのために、まわりの住民たちきらわれ追い出されるようになりました。いまやタカやキツネではなく、人間がサギの天敵になりました。しかしサギたちは、ついに絶好の場所を見つけました。エサ場があって、人が近づきにくい安全なすみか。それが高速道路のインターチェンジの中だったのです。まわりには自然の水路や池が残り、農薬の使用が減った田んぼには、サギのエサとなるカエル、小魚、虫などがたくさんいます。まさに高速道路は、サギにとって『安住の地』だったというわけです。」と述べられている。

 ゴイサギ

二〇一七年春になって東名阪自動車道の蟹江インターチェンジの北側の道路沿いの木々は半分程の高さに伐採されて、ゴイサギやシラサギたちの営巣場所がなくなってしまった。インターチェンジの奥の空間や南側の土手では繁殖している。伐採された木の生長によって元のように営巣できるには、二年程かかるのではないかと思われる。こうした営巣地の保全とサギたちが高速道路での被害を受けないように、中日本高速道路株式会社は周辺の金網の高さを高くしたりして対応している。

今年は田植えの頃、北側の道路脇の田んぼの田植えが終わった頃、気温が高くなった日中に、ゴイサギやシラサギが集団で田んぼで水浴びをしていた。植えたばかりの苗が倒れていた。農家の人たちにとってこれらのシラサギはきっと迷惑な存在だろうなと思ったものである。(コサギ ペリカン目 サギ科 コサギ属 コサギ ダイサギ ペリカン目 サギ科 アオサギ科 ダイサギ)

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