オカヨシガモ

動物編

オカヨシガモを知るようになったのは他のカモよりは遅かった。愛西市の善太川でマガモのメスだと思っていたカモの群れの中に、オスとメスと思われる中型のカモがいて、オスは嘴が黒っぽいがメスは黄色っぽい二羽が混じっていた。マガモのメスに似ているがマガモではないと判断して写真を撮った。そのオスの胸は灰色でごま塩状のまだら模様になっている。よく見る魅力的な姿だが地味な印象のカモだった。マガモの群れと離れて群れていることもあり、やはり違うカモなのだと思った。撮った写真をパソコンに取り込んで拡大してみたらメスはマガモのメスとはやはり違っていた。

  オカヨシガモ

 オカヨシガモは天童の原崎沼では見かけたことはなかった。長良川沿いの水門のある沼、善太川、五条川等では見かけた。五条川ではマガモ、ヨシガモ、ヒドリガモに混ざって、多くのオカヨシガモが見られた。この地方には多く飛来しているのではなかろうか。日本に越冬のために飛来するカモたちだが、ハシビロカモは長良川の水門脇の沼、福田川の河口、藤前干潟の入り口の水を張った田んぼでしか見かけない。ヨシガモは原崎沼、五条川や日光川河口でしか見かけない。ヒドリガモは原崎沼、藤前干潟や五条川でしか見かけない。ユーラシア大陸に帰って繁殖し、日本に越冬のためにやって来るのは、前年に来た場所ではないかと思われる。親ガモに連れられた若いカモが翌年になってその場所を覚えていてやって来るのだろう。蟹江周辺は水郷地帯で河川や沼なども多く、どこでも良さそうなのに場所によって種類が限定されている。善太川では何年も前から十一月前後から写真を撮りに行っているが、カモの数は違っても前年にいた種類だけがやはり今年もいる。ヒドリガモは見かけていない。

 いつも恒常的に越冬のためにいるカモの他に、どこかに行く途中で一時的に立ち寄ったと思われるカモもいる。善太川ではオナガガモ、ヒドリガモやマガン等を見かけたことがある。しかし数日後にはいなくなった。

 カモの写真を撮る時水面に浮かんでいる場合と驚いて飛び立って飛翔する時の写真が撮れる。カモの外見の特徴と飛翔している時の羽の模様でも種の違いを区別する。それが分かるように、羽の部分の名称なども少しずつ覚えている。例えば羽の部分では初列風切、次列風切、三列風切や、カモごとに模様が違う翼境(よくきょう)や翼帯(よくたい)等である。カモの羽の部分を覆う雨覆いという名前の部分もある。

  オカヨシガモの飛翔

 そんなオカヨシガモであるが、「日本のカモ 識別図鑑」(氏原巨雄 道昭 誠文堂新光社)を見ると、「大きさは、全長四五~五七センチ。翼開長七八~九五センチ。特徴は、マガモより小さく、ヒドリガモよりやや大きい中型のカモ。マガモよりスリムな体型で頭は丸みがあり額が高くなっている。嘴はヒドリガモより細長い。飛翔時は白い翼鏡が目立つ。分布・生育環境・習性は、日本にはおもに冬鳥として渡来するが、北海道、本州で少数が繁殖する。河川、湖沼、池、海岸などで越冬し、通常あまり大きな群れは作らず一〇羽から五〇羽程のことが多いが、一〇〇羽を超えることもある。おもに植物食で植物の種子、水草などを水面で採り、逆立ちして、頭を水中に突っ込んで餌を採ることも多い。稀に水中に潜って水草を採ることもある。地図の分布では、繁殖地はシベリアからユーラシア大陸の中央部。越冬地は日本、中国沿岸から内陸、ヒマラヤからヨーロッパとなっている。」と記されている。

  餌を採るオカヨシガモ

オスは即座に同定できるが、オカヨシガモのオス・メス共に翼鏡が白く足が黄色か橙色であること、そしてメスの嘴はマガモのメスのように嘴が黄色地に黒の斑点状であることで同定している。まさに馬鹿の一つ覚えである。

全てのカモは水中の魚や甲殻類等の小動物を採餌していると考えていたが、必ずしもそうでなく私の思い込みに過ぎないことが分かった。まさに土着の認識だったと痛感している。身近に見かけるカモの多くが水面採餌しているが、善太川の汚れた川の水面採餌をしていれば、好ましくない食べ物も採って死に繋がるのではないかと心配してしまう。

善太川には十一月中旬頃に来て、三月中旬にはもういなくなってしまった。二月下旬から三月上旬になると太陽高度が高くなり、寒い中でも陽射しが強くなることを感じるようになる。多分そうした太陽高度と陽射しの暖かさを感じると、飛び立ちたくなるのではないかと思う。日本海を越えてまだ寒いシベリア大陸やユーラシア大陸へ帰るエネルギーも相当なものだろうと思う。これも本能に仕組まれたものだろうか。日本で繁殖すれば良いのにと思うのは勝手な考えなのだろう。(カモ目 カモ科 マガモ属 オカヨシガモ)             

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