タンポポは小さい頃からそこら中にあって、黄色い花がその時代の想い出と繋がっている。タンポポを使って何か作った記憶はないが、それこそ野原に行けばタンポポがあったし、それが当然だと考えていた。色々な分野の人と色々な領域の教材研究をするようになって、それが契機でタンポポの認識が大いに変わった。
セイヨウタンポポ
黄色とばかり思っていたタンポポを、熊本出身で生物学専攻の人が、西日本ではタンポポは白いとかクリーム色だと言い出したのである。私はタンポポの花は黄色だとばかり思い込んでいたから吃驚した。そういう白いタンポポがあるなら実際に見てみたいと思うようになった。他の仲間も同じ想いだったようで、色々の情報を集めると、灯台下暗しというのか、仙台の川内で数株の白いタンポポを見つけた。また大橋から大手門に上る左側の五色沼(日本のアイススケート発祥の池)の土手にも白いタンポポが咲いていた。その花は真っ白というよりはクリーム色で近くには同じタンポポが数株あった。
二ホンタンポポ
タンポポについて色々調べてみたら、面白い事実が沢山分かってきた。日本はタンポポの種類が多いことでは世界的に有名なことや、タンポポには昔から日本にある日本タンポポと帰化植物としての西洋タンポポがあり、その西洋タンポポがどんどん日本の各地に入り込んで侵略し続けているという事実である。
シロバナタンポポ(ニホンタンポ)
日本タンポポと西洋タンポポはどう違うのか。形態的には、花の下のがくのところの「そうぼう」という部分が、日本タンポポはがっちりと萼(がく)を包み込んでいるのに、西洋タンポポは反り返っている。こんな簡単な区別なら幼児でもできるから、西洋タンポポと日本タンポポを区別することは容易である。この形態的な違いとは別に遺伝子的には日本タンポポと西洋タンポポが交雑しているケースもあるという。
他には、日本タンポポが生えているところは、昔から人手が入って環境を管理している土手、田んぼの畦やお寺の境内等なのに対し、西洋タンポポは道路をひっくり返した場所でも生える。また日本タンポポは他の株の花粉を貰わないと受粉できない自家不和合性なのに、西洋タンポポは自家受粉でも種ができるし、受粉しないでも種ができる栄養生殖という特徴も持っている。また日本タンポポは、春に花が咲くと翌年の春まで開花しない。またできた種子は冬の寒さを経験しないと翌年発芽しない。それに対して、西洋タンポポは種子ができるとすぐに発芽し一年中開花することができる。日本タンポポと西洋タンポポの日本での生存競争では、圧倒的に西洋タンポポが有利であることは、以上のことからも明らかである。
日本タンポポには、関東タンポポやエゾタンポポなど何種類かあるが、はっきりと他のタンポポと区別できる白いタンポポ、つまりシロバナタンポポを色々な人に話している。私は宮城県、福島県や山形県で仕事をしてきた関係で、この三県のそれぞれのどこにシロバナタンポポがあるのかを調べている。このシロバナタンポポは、その年の気候にもよるが、大体5月の連休の頃の2週間ほど咲いている。私が確認している場所は、宮城県の村田町の周辺、丸森から相馬に抜ける国道の大内を過ぎた福島県境付近、いわきの湯の岳付近などで見かけている。山形県では、学生たちに探して欲しいと授業で働きかけているが、これまで報告がなかった。私自身は東根市の山沿いの原っぱで一株見つけたが、シロバナタンポポかどうか自信がない。しかし、今年学生が白鷹町で日本タンポポを見つけたとスマートフォンに撮った写真を見せてくれたが、明らかにシロバナタンポポだった。やはり山形県内にも、シロバナタンポポは咲いているのだと嬉しくなった。
春になると野草の若葉をテンプラにする試みをしている。ツクシやヨモギなどは美味しいが、このタンポポの葉っぱや花もテンプラにすると美味しい。皆さんも試してみてはいかがだろうか。
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