植物の共通性

 私は植物の専門家でもなく趣味の延長線上での植物への興味だから、植物の学術的な細かい性質や特徴を学ぼうという気は余りない。でも植物の生き様や適応の仕方などには、とても興味がある。

 学生に植物への興味を喚起するために、その同じ仲間の植物の共通性を学ばせることで、仲間かどうか予想したり野外を探検する楽しさを伝えたいと考えている。

 バラ科

花びらに着目すると、例えばバラ科はみな5枚の花びらを持っている。店で売っているバラは沢山の花びらを持った芳しい(かぐわしい)香りの花であるが、これらは品種改良して人間がその特徴を変えてきたのである。でもバラの元々の原種は5枚の花びらである。5枚の花びらを探してみると、サクラ、ウメ、モモ、リンゴ、ボケなどは5枚の花びらを持っている。これらはみなバラ科である。他にもこうした仲間はいないかと探してみると、イチゴ、ハナカイドウ、ナナカマド、ユキヤナギなどもバラ科である。5枚の花びらをみたらバラ科ではないかと考えて、図鑑を見る習慣ができればしめたものである。

   アブラナ科

同様に、4枚の花びらならアブラナ科(ナノハナの仲間)である。キャベツ、ハクサイ、カブ、コマツナ、ダイコン等はアブラナの仲間である。しかし、同じように感じているサラダに使うレタスはキク科で例外である。野草で花が小さいタネツケバナ、ナズナ(ペンペングサ)や根を利用するワサビもこの仲間に入る。「4枚の花びらならアブラナ科でないか」と考えてみて欲しいものである。

    マメ科

また花の形を見れば、その仲間でないかと考えられるものがある。えんどう豆のような花(蝶花)の形なら豆科でないかと考えられる。フジ、ハギ、カラスノエンドウ、大豆(エダマメ)、アズキ、クズ、クローバー(シロツメクサ)、ゲンゲなどは豆科である。クローバーの頭の白い部分は、よく見ると白い豆科の花がいっぱい集まっている集合花である。

    ウリ科

キュウリの花のような形を見れば、ウリ科だと考えれば良い。メロン、スイカ、ヒョウタン、ヘチマ、カボチャなどはみなウリ科である。カラスウリ、アレチウリなどもウリ科に入る。細かくは後で調べてみればよい。ナス科のハナは特徴のある花の形をしており、トマト、ピーマン、ジャガイモ、ホオズキなどである。

このように、花の形やその数などを元にして親しんでいくと、同じ仲間かどうかを確かめ易くなる。また、それを元にしてどんなところに生えているか、水辺か乾燥地か、日向か日陰かなどで、その植物の好む環境などが分かってくると、植物の生き様などにも興味を持てるようになる。

「シソ科の茎は四角い」とか、ショウブとアヤメの違いは葉の中心部が盛り上がっているかなど、少しずつ学ぶことで、その形の違いだけでなく生き様についても学んでいくと、植物が生きていこうとする工夫の素晴らしさの醍醐味も学ぶことができるようになるだろう。

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