蟹江ではシジュウカラを見たことがない。こちらにはいないのだろうか。モズ、ジョウビタキやメジロは時々見かけるがシジュウカラは見たことがない。
天童、仙台やいわきなどでは度々見かけていた。仙台の知人宅の庭の餌台には、シジュウカラが来てヒマワリの種等を食べているのを何度も見かけていた。だからといって集団で頻繁にやってくるという訳ではなく、スズメ、ムクドリやヒヨドリに較べると時々一~二羽を見かける程度である。
シジュウカラのヒナかな?
シジュウカラの動きはとても敏捷で、小気味良い程木の枝から枝に尻を振りながら移動していく。そして何よりも脂っこいものが大好きである。ヒマワリの種を入れておくと、それを狙ってくるし、ピーナッツ、エゴマ(じゅうねん)の他に牛脂を目の粗いプラスチックのネットに入れておくと、それを啄みにやってくる。私はスーパーですき焼き用の四角く切った牛脂を何個か貰ってきてオレンジ色のプラスチックのネットに入れて、餌台の近くの木の枝にぶら下げさせて貰った。シジュウカラはヒマワリの種であれピーナッツであれ、その場で食べずに口に加えて木の枝に運んでから、足でその種を押さえながら啄んで食べている。鳥によって餌の食べ方も違うようだ。
シジュウカラはシジュウカラ科の鳥だが胸が黒くなっておりネクタイをしているように見える。頭は黒く羽は緑っぽい灰色である。餌台の餌を取りに来るのを見ると、二匹の場合も多く番い(つがい)ではないかと思う。鳴き声はピィッ、ピィッという感じのように記憶している。
天童のアパートにいた時、二階のベランダの前の倉庫の屋根にシジュウカラが止まっていた。嘴に黄色い部分があるから巣立ったばかりのヒナのようだった。親が餌を運んで来るのを待っている風情で動きがとにかくぎこちない。しかも隣の家の屋根の樋(とい)に入り込んでしまったりしていた。ちょうど巣立ち時期の六月初旬だったと思う。この辺りのどこかに巣があったのだろう。
シジュウカラ
シジュウカラについて「野鳥の図鑑 陸の鳥①」(中村登流 保育社)を見たら「動きは樹上性、地上性、二足とびでよく跳ねまわりきぜわしく動く。体を左右にゆすりながら叫ぶ。つがいまたは小群で行動し、群れは騒がしい。しばしば混群に入る。巣やねぐらによく巣箱を使う。住みかは低地や山地の樹林、松林など、木のある人家周辺、公園、ブナ原生林、モミやシイ・カシの原生林にも多い。分布はほぼ日本全土に繁殖。日本にごく普通の鳥。季節はほとんど地方の留鳥。年中よく見られる。二月頃からさえずりがはじまり、三月~六月がさかん。秋、冬に大群をつくることもある。」と記されている。蟹江周辺は水郷地帯で樹林帯はないから、見かけないのかもしれない。海津市の養老の滝がある養老山地にまでいけば見かけるのかもしれない。いつか確かめに行きたいと思っている。
シジュウカラ科の仲間ではヤマガラを思い出す。というのは、小さい時に縁日に行くと屋台が出ているが、必ず竹籠に入った鳥を置いた屋台があった。今から考えると胸が赤茶色だったからヤマガラではないかと思われる。その鳥籠のヤマガラは、人がお金を払うと、竹の止まり木の端にある巻紙のうちの一本のおみくじを咥えて、止まり木をピョンピョンと飛びながら籠の反対側の隅にある穴にポトンと落とす。それが籠の外に出てきて、その巻紙を開いて運勢を占うようになっていた。私自身はお金を払っておみくじを運んでもらったことはないが、そうしたヤマガラの芸をよく見たものである。
ヤマガラ
今ならこうしたヤマガラの芸を行わせること自体、野鳥保護や愛護精神に反するものと訴えられるか非難されるだろう。当時はこんな芸をするヤマガラの能力は凄いなと子ども心に感心しながら見ていたものである。
今になって見れば、芸をどのように学習させるのか興味のあるところだが、基本的にはスキナーのオペラント条件付けだと思われる。ヤマガラに餌をやらないで生理的欲求を高めておいて、好ましい行動をした時に餌を与えるという繰り返しによって、気長に芸を学習させたのではなかろうか。昔はヤマガラにこんな芸をさせていたのである。上述の本にはヤマガラについて「動きで、樹上性、二足トビで枝から枝へ移る。気ぜわしく良く動き、体を左右にゆすぶって叫ぶ。枝やマツカサに逆さに止まる。ドングリなどを足にはさんで音を立ててたたきわったりする。つがい、または小群で行動する。よく混群に入る。」となっている。シジュウカラと基本的には共通の行動習性だが、とても好奇心が強く、細かい動きができる能力を持っているという記述である。昔の人はこうしたそれぞれの鳥の習性を知悉しそれを利用しながら生活していたのだろうなと思ったものである。(スズメ目 シジュウカラ科 シジュウカラ属 シジュウカラ)
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