ホタルブクロ

植物編

初夏に山沿いの道を車で通るとその脇にホタルブクロが見られるようになる。この花を見かけると初夏だなあとの思いが強くなる。東北では普通に見られる植物であり花である。その花の形はリンドウのような釣鐘状の形だが、リンドウのように先端が大きく開かないで、下に垂れ下がっていることも特徴である。

ホタルブクロ その1

 福島県の浪江からいわきに抜ける県道でも随分見かけていた。今から考えると富岡の第二原子力発電所の山沿いの道だったように思う。その花の色は白か薄い赤紫で、とても風情がある花である。何本も枝が出てたくさんの蕾をつけているものもあるし、一本だけで蕾の数も多くないものもある。私はたくさんの蕾と花をつけているのは好まないが、それでも一輪挿しに活けると風情をとても感じさせる。

 この季節になると何本か採って、知り合いの家に持参することがあった。ただこのホタルブクロは切ると青臭い匂いがする。もともと植物だから青臭い匂いがするのは当然だが、ちょっとその臭いが強いのである。知り合いの家に持参して、その季節の風情を楽しんでもらおうとしたが、翌日にはその家のどこにも活けてなかった。そこには高齢者の母親がおり臭いに敏感なことから、捨てられたかもしれない。毎年季節を感じてもらおうと持参するのだが、よい臭いでないことから好まない人もいるのだろう。後日その家人にその事情聞いてみたら、て廃棄したことはないという答えだった。このことから善意や誠意が空回りすることがある可能性を学ぶことができた。

 ホタルブクロはキキョウ科の植物で初夏に咲きだすことから、ホタルが飛ぶ時期と同じ頃咲くのである。ホタルブクロという命名はその中にホタルを入れる袋だというイメージであろう。花弁(はなびら)はそんなに厚くないのでホタルを入れて、闇に置くと微かに光るかもしれない。入れるホタルブクロは白い花弁だろうと推測する。赤紫だとその光が透き通らない可能性があるからである。仙台地方では、提灯のことをホタルブクロというとも言われている。ホタルブクロにホタルを入れて、花の先端をギュッと押し潰しそれを持って帰るとき、中からの光が見えるからこうして遊んだ子供たちがいたと言われている。

  ホタルブクロ その2

ある人は本当にその花の中にホタルを入れられるか調べている。実際にその花びらの先を結ぶことが難しく、うまく袋にすることができないと述べられていた。こうした実際に実証的に確かめる作業は必要なことであり、そんな人たちがいることは大事なことだと思う。

 最近では、このホタルブクロを街中でも見かけるようになった。天童中心地のある家の庭先でも毎年ある時期になると花を咲かせているし、私の知り合いもプランターで育てている。多年草だから放っておくと毎年花を咲かせる。しかもだんだんと株と花の数が多くなっているようだ。

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