山に入ると山道でとても不気味な植物に出会うことがある。他の植物のように枝葉をたくさんつけているわけでなくその先が筒状になっていて、そこに蓋のようなものがある風情である。その筒状のものだけみるとウツボカズラのようにも見えるが、山道に生えているとなぜか好感を持てないのである。
マムシグサ
宮城県の村田町の山中でも見るし鶴岡の羽黒神社に行く途中の杉林の下草の丈が低いところで、すーっと立っている数本見かけたこともある。天童の隣にある東根市の水晶山の山道の奥まで車で行きそこから登山道を登って行ったら、このマムシグサが沢山生えていた。丁度その時にフタリシズカも群生しており、それも写真にとりながらマムシグサの写真も撮ったのである。
マムシグサは秋になると赤や橙色の実がなる。周りの一年生の植物の葉が枯れているところに、トウモロコシを茹でて食べる真ん中部分を切り取ったような形をした実をつける。
マムシグサの実
マムシグサはサトイモ科の植物でテンナンショウ属の植物であり、サトイモ、タロイモやコンニャクと同じ仲間である。東南アジアではタロイモを主食として食べるから、きっとマムシグサの仲間であるテンナンショウも多いのではないかと思う。私の経験だと、マムシグサは日当たりの良い所というよりは、少し日陰のようなところ、山道で日陰になったところとか、杉林で日がときどき差し込んでくるような環境に生えている。その不気味さの一つが、茎がまだら模様で蝮(まむし)のような色になっていることと、その上の筒状のものが不気味なのである。その筒状のものが仏炎苞(ぶつえんほう)でその中に、花序(花の並び方)が真っ直ぐ立っている。蓋のように見えるが仏炎苞の先端がその花序の上に被さって、蓋のように見えるのである。
また根や茎にはシュウ酸カルシュウムの針状の結晶が含まれており、これはかなり有毒で口に入れると、激痛が走り唾を飲み干すことさえできないという。
マムシ草が生える
6月頃に天童の丘陵地帯を歩いていたら、マムシグサほどの大きさでないが似たような植物を見つけた。これは日陰というよりは日向のところに何本か生えていた。調べてみたらカラスビシャクと呼ばれるもので、畦や道端に生えている。葉は3枚(小葉)でその柄にはむかごがつくという。葉より高いところに花茎を出し同じように火炎苞があるが、上が雄しべで、下が雌しべとなっている。この根の球茎を半夏(はんげ)といい漢方では薬草として使うようである。
カラスビシャク
カラスビシャクを覚えて色々みて見ると、畑の雑草の一部や田圃の畦などで見かけるようになってきた。見ようとしなければ見えないというが、本当だなと思ったものである。
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