植物について興味を持ったのは随分古いのだが、植物の茎に着目して考えるようになったのはつい最近のことである。
というのは植物の茎は平面(カミソリでスパッと茎を切ると)の形が、どの植物も丸いと思っていたのである。タンポポ、菊、ひまわり、イネや朝顔など身の回りにある植物はどれも丸いのである。ところがある時、シソの茎を触ってみたら、何と四角いではないか、そんな茎があるとは思っていなかったので吃驚(びっくり)した。それでシソ科の仲間は四角いのではないかと探索するようになった。オオバや十二単(じゅうにひとえ)等も四角いことが分かってきた。その積もりで春先の植物をみると、シソ科の植物が多いことに吃驚したのである。ヒメオドリコソウ、カキドオシ、ホトケノザなど、私たちの身の回りにたくさん見られる。
シソ
学生たちに授業の中で「シソ科の茎は四角い」というシソ科の共通性について話して、シソ科の仲間を探索するように働きかけている。ホームセンターの植物でもよし、香がするものはシソ科の仲間が多い(シソ科は昔から薬草と考えられていた)と話して、野山に行ったりホームセンターに行ったりした時、茎を触ることを奨励している。
ハッカ
ホトケノザ
個別の名前が言えなくても、シソ科じゃないかと考えられるようになれば、後になって図鑑でシソ科の項目を探して確認すればよい。このように、シソ科じゃないかと推論して予想したことを図鑑で確かめる作業は楽しいものとなる。
ヒメオドリコソウ
ところが「シソ科だけが茎が四角いか」というと、実はそうではない。例えば、茜(あかね)は茎が四角いのである。四角いと言ってもツル状なので雰囲気は違うが、シソ科という仲間からは外れている例外でなる。しかし、では、茜(あかね)とシソ科をどう区別するかというと、シソ科の花は割りと小さな花が群れて穂状になったり段々になったりして咲くのである。この条件を加えると、つまり「四角くて小さい花を穂状につける」とすると、茜(あかね)と区別することができる。花も加えて他の植物と比較できるという意味で、シソ科の知識が増えたことになる。
アカネ
植物には丸い茎、四角い茎があるとしたら、論理的に考えて、三角の茎や五角形の茎があるのではないかと考えるのは当然の推論だろう。
カヤツリグサ
ある時、庭に咲いていたカヤツリグサを触ってみたら、何と三角形であった。そこで三角形のカヤツリグサの仲間探しを始めたのである。水辺に咲いている大きなミズカヤツリも三角で、結構その仲間がたくさんあることが分かってきた。そのうち、また五角形の茎があるのではないかと思ってインターネットで探してみたら、アマドコロの茎が構造的ではないが、五角形の陵になっている場合があると書かれていた。
こうして、シソ科の仲間の特長、そして三角形のカヤツリグサの仲間などを通して、シソ科と似ているが、茎が丸いゴマノハグサの仲間などを関連させて学べることになる。このように学べば、私のように記憶力に自信がないものでも分かるようになる。
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