ハナショウブ

小さい頃5月5日のこどもの日に風呂にショウブを浸けて入ったものである。揮発性の良い匂いを今でも懐かしく思い出す。その頃はショウブを近くの川べりに生えているのを採ってきていた。このショウブの花がどんなものだったかは覚えていない。後になって調べてみたら、サトイモ目のショウブ科であり、ハナショウブの仲間とは異なる種類だと知った。

 サトイモ科のショウブ

 私はハナショウブとアヤメの区別がずーっとできなかった。今でも自信がないが、知り合いの家には春になると薄紫と白が入った花が咲くハナショウブが植えてあった。そのハナショウブは気品があって、とても素晴らしいものだった。

 そのハナショウブを見て発見したのは1つの花が咲いて枯れて落ちる頃、また別のさやから花芽が出てきて花が咲くことである。それに時間が多少かかるので花を二度楽しむことができる。このハナショウブはその家には昔からあって、時々訪ねてその花に出会うと梅雨時期の風情を感じることができた。

  キショウブ

 天童の原崎沼の周りやその他の地域を車で走っていると、田圃や沼などの周りにキショウブが咲いているのを度々見かける。白や紫のハナショウブは、農家や家が立っているところで見かけるのもので、園芸種として植えてあるのだろう。ある本を見ていたら、キショウブは外国からの帰化植物で日本のカキツバタなどの生態位置を奪っていると書いてあった。このようにショウブの世界でも、帰化植物と在来植物の間の闘いがあるのだと知った。

  ハナショウブ(庄内緑地のものも含む)

  アヤメ

 アヤメもハナショウブもアヤメ科に属していて同じ仲間内であるが、私にはその違いが分からなかった。花弁(はなびら)に綾(アヤ)があるのがアヤメで、ないのがハナショウブらしいのだがその綾がなかなか分からないのである。ところが、最近ではジャーマンアイリスが家の庭とか菜園の一角に植えてあるのを見かけるようになって、これはアヤメの外国種の仲間であることを知った。アイリスは水辺とか沼周辺ではなく、畑や庭に植えられているから、どうもアヤメも同じような植生ではないかと思っている。

私の好みを言えば、黄色や赤紫などのアイリスの花は余り好きになれない花である。余りにもきちんとして美しく奇麗な花だからである。その完璧さが日本人の風情にそぐわない花のような気がしてならない。現代のように、奇麗さを前面に押し出してその存在を前面に押し出すことが普通だとしたら、私の感性は時代遅れなのかもしれない。

ハナショウブとアヤメの花の区別をする場合、その綾(あや)のあるなしで区別する方法があるが、私にはその違いが分からない。その他の区別には、葉の中央に太い茎線が入っていればハナショウブであり、なければアヤメだという方法もある。

 カキツバタ

  また他には、咲いている場所、草丈、花の大きさの違いで区別する方法がある。インターネットで調べた中で、ハナショウブは色々な色合いがあるが花弁(はなびら)の根元に黄色い目の形があり、アヤメは網目状の模様があるとのことであった。この区別にはカキツバタとの区別も記されていたが、今の私にはハナショウブとアヤメの区別さえ危ういので、これがはっきり分かってから両者とカキツバタとの区別を出来るようにしたいものだと考えている。次の学習課題といったところだろうか。

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